ストーリーと音楽

こころおどる!Viva Vivaldi ! ナレーション原稿+演奏

ヴィヴァルディの誕生  

ヴィヴァルディを知っていますか?
ヴィヴァルディの「四季」と言えば、ご存知の方も多いでしょう。
今日はそのヴィヴァルディのお話を、音楽とともにお聞きください。
今年のラ・フォル・ジュルネのテーマは「La Danse」!
ヴィヴァルディが生まれた町ヴェネツィアは、華やかなお祭りの町。
この町の空気を吸い込んで、ヴィヴァルディの心の中には、生き生きと、軽やかに、踊るような音楽が生まれたのかもしれません。
「四季」の「春」の3楽章には、こんな詩が添えられています。

 〜牧歌的な 笛の調べに乗って 
 妖精(ニンフ)と羊飼いたちは踊る
 麗しく輝く春の光の中で〜


●《和声と創意への試み》作品8−1より 協奏曲第1番 RV.269 「春」 第3楽章 アレグロ

ヴィヴァルディとピエタ  

25歳になったヴィヴァルディは、生まれた家のすぐ近くの教会の司祭様になりました。
そして、ヴァイオリンが得意だったヴィヴァルディは、教会の附属の、「ピエタ」と呼ばれる女子孤児院の音楽の先生になります。
ピエタでは、孤児たちに生きてゆくための技を教えていました。
音楽もそのひとつです。
髪の色が明るい赤色だったため、赤毛の司祭様(イル・プレーテ・ロッソ)と呼ばれたヴィヴァルディと、ピエタの生徒たちの出会いです。


●協奏曲集「調和の霊感」作品3-9 バイオリン協奏曲 ニ長調 RV.230 第1楽章アレグロ


●グロリア ニ長調 RV.589 より 第3曲 ラウダムス テ


ヴィヴァルディの時代の音  

今から300年前のヴィヴァルディの時代には、私たちが現代のオーケストラで見かける楽器とは、違う種類の楽器がありました。
今では「古楽器」と呼ばれるそれらの楽器の中には、現代の私たちの耳には、とても小さな音に聞こえるものもあります。
これからお聞きいただく「リュート」もそんな楽器です。
300年前、車も、テレビも、スピーカーから流れる音楽もありませんでした。
人の耳は、小さな音を敏感に聞いていました。

昔の人の耳になって、いにしえの楽器の音を聞いてみましょう。


●リュートコンチェルト ニ長調 RV.93 より 第2楽章 ラルゴ

大評判となった、ヴィヴァルディとピエタの生徒たち 

やがて、ヴィヴァルディ先生とピエタの生徒たちの演奏は、ヨーロッパ中で評判になりました。
教会のコンサートには、たくさんのお客が詰めかけます。
姿が見えないように、格子のついたテラスの奥で演奏する生徒たちは、「合奏、合唱の娘たち」と呼ばれて、人気を集めました。
姿の見えない演奏者が奏でる音楽は、
まるで本物の天使の音楽のように聞こえた事でしょう。


●グロリア ニ長調 RV.589 より 第6曲 ドミネ デウス

ヴィヴァルディ先生の妙技

生徒たちが楽しく練習できるように、そして、コンサートのお客様に喜んでもらえるように、ヴィヴァルディはさまざまに音楽に工夫を凝らします。「標題音楽」と呼ばれる、自然や、生き物の様子を表した曲もそのひとつです。
楽器の特色を生かして、さまざまに音楽で情景を描き出すのは、ヴィヴァルディの得意技でした。

真っ赤な頭と黄色い羽根を持つ可愛い小鳥、ごしきひわ。
ぴょんぴょん跳ねたり、にぎやかにさえずる様子が、音楽の中にスケッチされています。


●フルートコンチェルト RV.428 「ごしきひわ」より第1楽章 アレグロ


ヴィヴァルディの最期と復活 

月日は流れ、60代になったヴィヴァルディは、音楽の都ウィーンを目指して旅立ちます。
ウィーンでオペラの仕事をするのが目的だったと言われています。
ところが、頼みにしていた王様が亡くなり、おくやみのため、音楽の演奏は禁止されてしまいました。やがて、戦争の影が忍び寄ります。
ヴィヴァルディは、活躍することができないまま、病気になり、ウィーンで死んでしまいました。

それから、長い間忘れられていたヴィヴァルディは、
今から、たったの50年ほど前に、名曲「四季」とともに蘇りました。
そして、今、ヴィヴァルディは、世界中でとてもよく知られている音楽家の一人です。

ヴィヴァルディの音楽を聞くと、現代の私たちも心が躍ります!
Viva Vivaldi !


●グロリア ニ長調 RV.589 より 第1曲 グロリア


アンコール1曲目  

ヴィヴァルディ終焉の地ウィーン。
やがて、平和な時代が訪れたウィーンには、オペレッタの花が開きます。
オペレッタは「小さなオペラ」という意味、そう、ヴィヴァルディがウィーンでやりたかった、あの「オペラ」です。
その、ウィーンのオペレッタから、レハール作曲メリーウィードーより「唇は語らずとも」、
こころおどる、ウィンナ・ワルツをお聞きください。

 

アンコール2曲目

それでは最後に、もう一度思い出してください!   今年のラ・フォル・ジュルネのテーマは「La Danse」!!
4月15日のプレ公演から始まった一連の音楽の祭典も、本日のこのコンサートですべて終わりです。
「La Danse」の締めくくりに、さあ、会場の皆さんも一緒に踊ってみませんか?
踊って頂くのは、ヴィヴァルディの故郷ベネツィアの波の踊りです。
曲は、オッフェンバック作曲、オペラ「ホフマン物語」より「ホフマンの舟歌」。
本日の出演者全員が演奏いたします。

ここはベネツィアの運河です。
ゴンドラが行き交い、静かに波が寄せては返す。
音楽に合わせて、素敵な波を作ってください。




ナレーション原稿:高橋 育世  撮影協力:永森 正仁

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