プログラムとクイズ回答

プログラム

1. 《和声と創意への試み》作品8−1より 協奏曲第1番 RV.269 「春」
  第3楽章 アレグロ

「四季」は、ヴィヴァルディの作品中、最も有名な曲と言ってよいでしょう。その中でも「春」は、明るく軽やかな曲調で特に人気があります。「四季」「春」「夏」「秋」「冬」というタイトルはヴィヴァルディ自身がつけたものではありませんが、各楽章に「ソネット」(短い詩)がつけられているため、標題音楽(※1)の代表的なものとされています。
ソネットは、ヴィヴァルディ本人の作という説も有るものの詳しい事はわかっておらず、作者不詳とされています。
最も有名な曲にもこのような謎が残っていることからも、長い間忘れられていたヴィヴァルディという作曲家の研究が、まだ途上であることが伺えます。原曲はバイオリン協奏曲ですが、「春」の3楽章に添えられたソネット、「牧歌的な笛の調べに乗って ニンフと牧童はおどる 麗しく輝く春の光の中で」にちなみ、今回のコンサートではリコーダーの二重奏と通奏低音による演奏です。
(※1)情景、自然、感情などを描写する音楽。

2. 協奏曲集「調和の霊感」作品3より第9番 バイオリン協奏曲 ニ長調 RV.230
  第1楽章アレグロ

ヴィヴァルディは、幼少時より父親からバイオリンを学びました。父親のジョバンニは、本業の理髪業のかたわら、サンマルコ寺院のバイオリン奏者に選ばれるなど活躍した町の名バイオリンニストでした。ヴィヴァルディは聖職者になるべく10歳から教会附属学校で学び、25歳で司祭になりました。
しかし、喘息の持病のためミサの説教の勤めが充分に果たせず、同年中にその任を解かれて平服の在俗司祭となります。
そして、ピエタ慈善院付属音楽院において、作曲と、音楽の指導の職に就きます。
協奏曲集「調和の霊感」は、その初期の活動の中から生まれた作品です。作品1、作品2の二冊のバイオリンソナタ集に続いて出版された初のバイオリン協奏曲集であり、ピエタの生徒たちの演奏のために作られた曲の中で評判の高い物を集めての出版であったと言われています。この曲(RV.230)は、同時代のドイツ人、バッハによりチェンバロ曲に編曲されています(BWV 972)。

3. グロリア ニ長調 RV.589 より 第3曲 ラウダムステ (Laudamus te)

1926年、イタリアのトリノ大学図書館で膨大な数のヴィヴァルディの自筆譜が発見されました。イタリアの音楽学者で作曲家のアルフレード・カゼッラを中心に調査が行われ、ヴィヴァルディがイタリア後期バロックの重要な作曲家であった事が、このときから再発見されていきます。
グロリア RV.539も、この時の調査でスケッチの状態で発見され、カゼッラにより1939年イタリアのシエナで蘇演されました。
今ではヴィヴァルディの宗教曲の中で最も知られ、演奏される機会も多い曲です。はっきりした制作年代や背景はわかっていませんが、この曲もまた、ピエタの生徒たちの演奏のために作られたとすると、前任者の退職によりピエタの宗教曲の作曲も依頼された1713年以降、30代後半以後の作品という事になるでしょうか。

4. リュートコンチェルト ニ長調 RV.93 より 第2楽章 ラルゴ

リュートという古楽器のためのコンチェルト。リュートはヴィヴァルディの時代でもあるバロック期の終わりとともに衰退し、演奏される事が少なくなりました。リュートが忘れられていた時期には、このリュートコンチェルトも、リュートのかわりにギターやマンドリンで演奏されることとなり、そのためこのRV.93は、ギターコンチェルト、もしくは、マンドリンコンチェルトとしての楽譜や録音もたくさんあります。20世紀になってから、古楽器や、その演奏の研究がさかんになり、作曲家ヴィヴァルディの再発見と時を同じくして、リュートも復活をはたしました。

5. グロリア ニ長調 RV.589 より 第6曲 ドミネデウス(Domine Deus)

グロリアは全12曲で構成され、この曲はその真ん中の第6曲。典型的なパストラーレ(田園舞曲)の性質を持ち、その特色として8分の12拍子です。通奏低音(チェンバロ+リュート+チェロ)の上に、ほのぼのとした牧歌的なメロディーを、ソプラノの独唱とオーボエの助奏が奏でます。
今回は、オーボエのかわりに助奏をフルートが演奏致します。


6. フルートコンチェルト RV.428 「ごしきひわ」より第1楽章 アレグロ

ヴィヴァルディが得意とした「標題音楽」。「四季」はもちろんの事、「海の嵐」「夜」などがあり、その親しみやすさもあってかヴィヴァルディの作品中でも人気があります。「ごしきひわ」もそのひとつです。
「ごしきひわ」は、頭が赤く黄色い羽根をしたスズメくらいの大きさの鳥です。美しくさえずる事で知られ、そのさえずりの特徴のひとつは時おり「チリッ チリッ チリッ」と三連続で鳴く事で、その特徴が曲の中にも聞き取れます。
また、ごしきひわは、その血の色のように赤い頭の色から、キリストの受難の象徴とされ、宗教画にもよく描かれていて(ラファエロの「ひわの聖母」が有名)、当時のヨーロッパの人々には広く親しまれており、教会のコンサートで演奏するのにもふさわしい題材の鳥であったと思われます。
それに加えて、「赤毛の司祭」と呼ばれたヴィヴァルディ自身の赤い髪の色との関連で、もしやヴィヴァルディはこの鳥に特別の親しみを持っていたのでは?という推測は、うがち過ぎでしょうか?。

7. グロリア ニ長調 RV.589 より 第1曲 グロリア(Gloria in excelsis Deo)

グロリア RV.589の全12のうち、8曲が合唱の曲です。この合唱部分は「ソプラノ、アルト、テノール、バス」という混声4部(通常は男女の高い声から低い声までの4つのパート)で書かれており、女性しか居なかったピエタの合唱団で、どのように演奏したのかは謎です。 諸説ある中で、特別に低い声の出せる女性が担当していたのではないかという説が有り、実際に同時代に女性のバス歌手が存在したという記録もある事から、それを再現して、テノール、バスのパートの音を上げる事無く女性が歌うことを試みている演奏団体もあります。
私たちのコンサートでは、女声3部と女声4部の楽譜を検討し、女声3部の編曲を採用しました。
合唱が表しているのは、天使の大合唱。オーケストラの躍り上がるようなリズムの上に、天使の歓喜の合唱が響きわたります。

アンコール1.
フランツ・レハール(1870 - 1948 オーストリア  ウィーン)作曲 
オペレッタ「メリー・ウィドー」より「唇は語らずとも」

大富豪の未亡人と、その元恋人を巡る大人の純愛物語。ウィーンのオペレッタの人気作品です。この「唇は語らずとも」は第3幕で数々の行き違いの末、ヒロインのハンナと元恋人のダニロが和解するシーン、そこから更にもう一波乱を超えて物語はハッピーエンドにむかいます。この曲は「メリーウィドーワルツ」という名前で、ウインナーワルツとしても有名です。

アンコール2.
ジャック・オッフェンバック(1819 - 1880 ドイツ生 後にフランスで活躍)作曲
オペラ「ホフマン物語」より、「ホフマンの舟歌」(美しい夜、おお、恋の夜よ)

オッフェンバックの遺作のオペラである「ホフマン物語」。ベネツィアを舞台とする第三幕の冒頭で、絶世の美女の高級娼婦ジュリエッタと、ニクラウスという二人の女性が夢見るように歌います。ホフマン物語に描かれているのは19世紀のベネツィアですが、ヴィヴァルディの生きた17〜18世紀のベネツィアにも多くの娼婦たちが暮し、その結果、親に育ててもらえない子供たちが社会問題になるほど増え、ピエタのような孤児院がベネツィアに多く作られた理由となっています。ピエタ院の壁には人知れず赤ちゃんを託すための、赤ちゃんポストのような小窓が設置されていました。
華やかなベネツィアの繁栄の影の部分です。

クイズ回答

1)リコーダー
2)ヴァイオリン
3)たかい声質
4)19本  
リュートコンチェルト以外の曲には15本の弦のリュートを使用していました。2台のリュートを使用していましたので、本日のリュートの弦の数は?の答えは 、どちらも正解とします。2台あったことに気付かれた方「お見事」です!

5)2拍子でも3拍子でもなく、なんと本当の正解はまさかの8分の12拍子!。
2拍子にも3拍子にも聞こえるので、さんざん悩まれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?。どちらも不正解の選択肢に惑わされず8分の12拍子を見抜かれた方「プロ級」です!。12拍子は、(6拍・6拍)に分かれる2拍子系ですので、2拍子に聞えた方も正解とします。

6)とり
7)よろこび

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