川岸さんのヴェネツィア紀行 (5)ゴンドラで運河を行く

 

第5回 『ゴンドラで運河を行く』                   ←第4回ドゥカーレ宮殿へ戻る


高橋:今回のテーマは、ベネツィアといえば誰もが思い浮かべる「ゴンドラ」です。
   
   前回の連載からだいぶ時間が経ってしまったのには、実は訳があります。
   川岸さんの撮られたゴンドラからの風景のお写真がたくさんあるのですが、
   このゴンドラツアーでどこを通ったのか?ということについて、川岸さんも、詳細には分からないということでしたので、
   お写真の風景を頼りに、 私高橋が、Googleマップとストリートビューを使って場所を特定してみようと試みていました。
   なので、遅くなったのは私のせいです。申し訳ありませんでした!

   その結果、場所が特定できたかどうか?なのですが......
   探すこと一ヶ月余り、想像以上にベネツィアの運河は入り組んでわかりにくく、
   迷いに迷い......、
   でも、そのうち迷うのが楽しくなって来ちゃったりして...
   結局、いっこうに写真の場所にはたどり着けず、
   迷宮のようなベネツィアの奥深さを実感しただけで終わりました。
   
   (皆様にもこのベネツィアの迷路を体験していただきたく、わずかに判明したマップの情報も文中に掲載します。
    ご興味がおありでしたら、お暇な時にベネツィアの運河に迷い入ってみてください。
    ちなみに、私個人的にはまだ時々探索を楽しんでいます。)
   
   
   さて、前置きが長くなりましたが、ここから川岸さんのゴンドラツアーのスタートです!
   
   

川岸:ここはゴンドラの発着所です。
   宿泊したホテルのすぐ近くにあり、朝9時半前で乗船客も少なく、ゴンドラもたくさん待機状態です。
   ゴンドラにはツアー仲間の3組の夫婦で乗り、いざ出発です!
   ちなみに、同じツアーの別舟にはカンツォーネ歌手が乗り込み、遊覧しながら生演奏を聴かせてくれるとのことです。
   朝日も少しづつ強くなり、あと1時間もするとゴンドラ乗り場も交通ラッシュになるのでは。

高橋:ゴンドラは、舳先を並べて船着き場に繋がれて居る姿も絵になりますね。


川岸:見学コースは、発着所から細い運河に出て、建物の合間を抜け角を曲がりいくつかの小橋の下をくぐり、
   やがてメインストリートの大運河に入ります。

高橋:ずいぶん細い運河を通るんですね。
   岸辺がなくて両岸が直接建物の壁、他ではなかなか見ない光景ですね。

川岸:細い運河は波もなく街の喧騒もなくゆったりした気持ちでゴンドラに身を任せます。
   両側の建物はレンガや大理石で作られたものが多く古さが目立ちます。
   土台部分は海藻やコケが付き、壁のレンガが欠けた箇所も多々見受けられます。
   ヴェネツィアは干潟の上に無数の木杭を打ち込んで作った人工島とのこと、地盤沈下や高潮への備えも必要と言われており、
   絵のようなこの島・街並みを維持する大変さがうかがわれます。

高橋:こんなふうに水の上、というか、水の中に、巨大な建物が建って居ることだけでも驚きですね。

川岸:小さな運河の至る処に橋がかけられており、ゴンドラがくぐり抜ける際ぶつからないようにアーチ型になっています。
   人が渡る部分も盛り上がり階段となっているため歩行や荷車の通行には不便ですが、レンガ造りや石造りの洒落たデザインで
   紋章など入り個性的なものばかりです。
   朝で人通りが少ないため橋上からゴンドラを眺める人もまばらながら、我々に手を振って挨拶をしてくれます。 
   Buongiorno!  Ciao!

高橋:車乗り入れ禁止のベネツィアにとっては、船が通れる運河が車道で、
   陸上の道は車の入らない歩道という感じでしょうか。その二つの交差点はみんな橋という訳ですね。
   


高橋:このお写真の場所はすぐにわかります!有名なリアルト橋が見えます!

川岸:ヴェネツィアは海に浮かぶ(が如くの)島なので街じゅう大小の運河が迷路のように走り、当然ながら人が行き交うための橋が
   そこ彼処に架けられています。その数400以上とのことで、その中で最も有名な橋がこの「リアルト橋」です。
   13世紀に架けられ、当初の木造から今は大理石造りになっており、その佇まいから「白い巨象」と呼ばれいるとのことです。
   言われてみると大運河を跨ぐ巨象の姿に見えますね。
   残念ながら橋を渡ったり、間近で見たりすることが出来ませんでしたが、この景色は記念写真の定番であり、
   ヴェネツィアを訪れた良き証拠写真となりました。
   
   リアルト橋と大運河の動画もご覧ください。
   


高橋:ゴンドラの上、水面近くの視点から見る街は、格別の風情ですね!






川岸:ここは大運河の中心地、さしずめ銀座通りとでも言えるところです。
   すぐ近くには先ほどの「リアルト橋」があり、ゴンドラや水上バスのお客さんにとって一番の見どころです。    
   私も夢中になって行き交う船やその乗客の表情、建物の佇まい・海面の波の躍動感などを撮り続けていました。
   この画像もその中の1枚で、角のような尖塔を持ったおしゃれな白亜の館が運河の風景に溶け込んで、
   いかにもヴェネツィアらしいと思いシャッターを押したものです。

   この建物について帰国後に調べたところ、16世紀に貴族の館(宮殿)として建てられたもので、現在は豪華ホテルだそうです。
   宮殿を改築し、家具調度品や美術品などがヴェネツィア共和国時代のもので、
   泊まるのはおろか見学さえ後退りしそうな超一級ホテルとのことです。
   それを無料で撮ったラッキーな(?)1枚です。

高橋:この建物だけは Googleのマップの上でも場所が特定できましたので、一緒に情報を載せておきます。
   写真の運河の幅から場所は大運河とわかり、こんなに特徴のある建物なのですぐに見つかるだろうと思ったのですが、
   大運河の岸辺にもこれとよく似た二本のツノのような屋根の飾り?を持つソックリさんの建物がいくつかあって、
   結構迷いました。
   古くからの建物がずっと残っているので、同じ時代の建築の様式や時々の流行を取り入れて作られた建物は、
   目立った特徴があるように見えても、実はお互いによく似ていたりするのではないでしょうか。
   ベネツィアの街で迷ってしまう秘密は、そんなところにもあるのかもしれないなと思いました。

川岸:ゴンドラの旅もいよいよ終盤です。
   大運河に架かるリアルト橋や、両岸に立ち並ぶ「絵に描いたような!」、「これぞヴェネツィア!」と
   自己主張しているような建物群や、行き交う船の賑わいと別れて、細い路地裏水路に入りました。
   船足もやや速めで発着所に向かいます。
   冒頭に書いていますが、同じツアーの別舟に乗っていたカンツォーネ歌手の歌は、微かに聞えてきた程度で曲名もわかりません。
   曲の雰囲気も地味でした。
   私の期待していたのはルチアーノ・パバロッティが朗々と歌う「忘れな草」や、「彼女に告げてよ」のような盛り上がる曲、
   これぞカンツォーネを待っていましたが、現実はこんなものですね。
   でも、華やかな大運河と地味な路地裏を織り交ぜた水路の小旅行はヴェネツィアらしさの一番の思い出でした。

高橋:ゴンドラは音楽がよく似合う乗り物なんですね。
   ではここで、私たちの「みんなの音楽入門2」コンサートで演奏した、ヴェネツィアのゴンドラを歌った1曲、
   ホフマン物語の「舟歌」の動画をご覧いただいて、今回は終わりたいと思います。
   ありがとうございました。

   



  ■次回、第6回は最終回「さようならヴェネツィア」。
    ベネツィア滞在や街歩きで、川岸さんの目に止まったあれこれです。
    どうぞお楽しみに。
  
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