川岸さんのヴェネツィア紀行 (4)ドゥカーレ宮殿

 

第4回 ドゥカーレ宮殿                    ←第3回サン・マルコ広場「昼」へ戻る


高橋:今回の一枚目は、前回第3回の最後のお写真と同じものからスタートです!
   ここからがドゥカーレ宮殿への入り口になっているわけですね。
<写真1「布告門」>


川岸:この布告門はドゥカーレ宮殿の入り口(正門)で、かつてのヴェネツィア共和国時代の評議員さんや、
   外国の賓客たちが入ったそうです。
   でも、今は観光客はここからは入れません。

高橋:えっ?ここから入れないんですか。

川岸:私たちのコースでは、宮殿を見終わった後、出口としてこの門を通った際ガイドさんに説明されました。
   この門は独立したかまえの門と言うより、サン・マルコ寺院とドゥカーレ宮殿の隙間を繋ぐような造りで目立ちませんが、
   ヴェネツィアのシンボルである有翼ライオンと元首フォスカリ総督などの彫像が施されていて、
   ヴェネツィアの歴史・美術に誘う入り口であることを漂わせていました。
  「布告門」の言われについて後で調べたところ、門に市民へ布告の紙を張り出した、
   あるいは門の近くに記録書館があったからではとのことが載っていました。

高橋:そして、次の写真の立派な階段で、中庭から宮殿の二階に上がるようになっているんですね。

<写真2「巨人の階段」>


川岸:前述の布告門のすぐ先にあり、ドゥカーレ宮殿建屋に入る階段が、この 「巨人の階段」です。
   階段を登り切った所に二体の彫像(海神「ネプチューン」と軍神「マルス」)が出迎えてくれます。
   さすが階段一つであっても手を抜かず芸術美術の粋を詰め込む姿にただただ感心するばかりです。 
   
   ところでこの階段も通行禁止です。
   ならばとカメラを向け、登ったつもりの気分を収めました。

高橋:うーん、ここも通れないんですか。
   登れないと言われると、なんだかますます登ってみたい感じがします。
   しかし、毎日たくさんの観光客が通ると、傷んでしまうのかもしれませんね。


  
  <写真3、4「黄金階段」> 


高橋:さて、 いよいよ、実際に登れる宮殿の中の階段です!
   本来ですと、先ほどの布告門から入り、巨人の階段を登ってから、ここを通るわけですね。
   階段からすでに豪華な装飾が始まっていて、
   気を取られて上を見上げながら登ったら、階段を踏み外さないか心配です。
   
川岸:「黄金階段」は入り口から美術品の展示している階へ上る階段で、かつて貴族や上流社会の人たちが使っていたとのことです。
   漆喰に金箔を貼り絵画が施されており、まさに黄金に輝く超豪華な階段です。
   この先に待っている宮殿の空間やそこに収められている美術品の数々がどれほど素晴らしいか、豪華絢爛なのかを予感させる
   別世界への登り口といったところですね。
      


  <写真5 絵画「祈りを捧げるグリマーニ総督:ティツィアーノ作」>


高橋:立派な絵が現れました。これはどこにあるのですか?。

川岸:この絵は「黄金の階段」を4階まで上がった先の「四つの扉の間」にあります。
   事前にチェックしておいたのですぐ気付きました。
   中央に十字架と信仰の女神、左には聖マルコとライオン、
   右にはヴェネツィア総督などが描かれた厳粛な雰囲気の絵画に暫し見入りました。


 <写真6 『謁見の間」パオロ・ヴェロネーゼによる天井画>

髙橋:この部屋も、すごい迫力の金色と絵画の装飾ですね。

川岸:ここは各国の大使などを謁見した部屋で、正面の壁一面にある絵は
   ヴェロネーゼの「レパント海戦 の勝利を感謝するヴェニエル総統」です。
   赤や白の色彩が印象に残る豪華な絵と感じました。
   この部屋も他の部屋と同様に、壁や天井に絵画や彫像や黄金の装飾がびっしり施され、観る人を圧倒しています。

高橋:まさに「圧倒」という言葉がぴったりですね。
   天井に重量感のある装飾や絵画が飾られているので、より威圧感を感じるように思います。
   川岸さんのお写真も、天井部分を写されているものが多いですね。
   
   そしていよいよここから、更に大きなお部屋に入って行きます。
   動画を拝見します。



<元老院の間の動画>


高橋:なんだか、豪華さに目が回っているような動画ですね(笑)。

川岸:元老院の間の動画を見て頂くと、部屋中超豪華で彩り鮮やかな絵画のオンパレードです。
   また金箔の天井や24時間時計や星座時計など盛りだくさんで、一点一点をじっくり見たい所ですが、
   作品数の多さと時間のなさで目に焼き付ける間もなく次の部屋に移動です。
 
 

 <写真7 絵画『天国』ティントレット>

川岸:大評議会の間という大きな部屋にあるのがこの「天国」いう油絵です。
   横24m、高さ7mで500人もの人が書き込まれているとのことですが、部屋が大きなためそれほどの威圧感はありません。
   これほど大きな絵にもかかわらず一人一人の表情仕草を細かく描いていることに驚かされました。

高橋:これは大きな絵ですね。
   世界最大の油絵、という解説がされていることもあるようです。
   何か身近なものと大きさを比べて見ようとしても、大きすぎてあまり良い例が見つからなかったのですが、
   横幅が、だいたい25mプールと同じくらいの長さ、ということですね。
   なかなか写真にも収まりきらないはずです。
   


  <写真7、ドゥカーレ宮殿の窓から撮った河岸の景色>

川岸:最後の一枚は、ドゥカーレ宮殿の見学途中に窓から見えた景色です。
   大運河と船着き場、そして大運河沿いに続く街並みです。
   宮殿見学を終えて運河沿いをそぞろ歩く人や、運河を行きかう大小の船、ゴンドラも見えますね。
   街の建物はイタリアンカラーの赤レンガで落ち着きと歴史の息吹を感じさせます。
   写真では見づらいのですが、左手には教会のドーム、中央やや右には鐘楼が見えます。
   忙しい見学の合間に垣間見えた一瞬を捕らえた地味な写真ですが、ヴェネツィアの個性・特徴が良く出ていると思いました。

高橋:このお写真は、ぜひ紹介していただきたかったので、私がお願いして載せていただいたものです。
   実は、この時が、おそらく川岸さんが今回のご旅行でヴィヴァルディの本拠地に一番接近した瞬間ではないかと思うんです。
   写っている、この並びの岸辺にヴィヴァルディの活躍した「ピエタ教会」があります。
   残念ながら窓枠にちょうど隠れていますが、このお写真で「くの字型」にカーブしている運河の岸辺の中央部分、
   左の角のあたりにピエタ教会があるはずです。
   
   この運河の岸辺は、ヴィヴァルディが日々見ていた風景です。
   そう思って見ると、昔も今も変わらず賑わっているこの場所を行き交う人々の中に、
   職場に向かうヴィヴァルディ先生が、急ぎ足で歩いていそうな気がしてきます。




   ■次回、第5回は「ゴンドラで運河を行く」。
    ベネツィアといえばゴンドラ。そして、ゴンドラで行けば、ベネツィアの町の少し違う姿が見えてきます。
    どうぞお楽しみに。
  
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